雑文保管所

様々な事柄を深く考えたつもりで書き殴ります。要は雑文です。

【タクティクスオウガ 運命の輪】 ストーリー考察(12)

綺麗ごとで戦いに勝つことはできない。
どれだけ崇高な理想を掲げようとも、戦いに勝つことができなかったら
それは何の意味も持たない。
異民族が共存できる社会を作るためにも、この戦いには勝たねばならない。

勝つためには、この手しかない。
従ってくれるな?

自分がその場にいたら、はいと言うだろう。
「この策しかない」というのは殺し文句だ。
これしかない、と強く言われるとそれ以外の選択肢がかすんで見えなくなる。
一般人にとって、yesかnoかの二者択一は明快で回答しやすい。
現実の世界でも、この殺し文句で選挙に勝利した政治家もいる。
しかし。

虚構の世界ならこう答えたい。
本当にそれが唯一の手段なのか?
本当にそれ以外に手はないのか?
武器を持たぬ、兵士でない人間たちを殺すのが戦争に勝つための道なのか?
青臭いねぇ。でも、この青臭さがいい。

レオナールの言葉からも、彼としても逡巡した末の決断であったことが窺える。
彼だってこんなことはやりたくない。
そういう感情を、主君に従うという騎士の名誉が、
そしてこの戦いの後、自分の理想を実現したいという思いが、
抑えつけたのだろう。
目の前のデニムは、逡巡し、公爵の命令に反対したいと思っていた過去の自分。
そのデニムを切り伏せることで、過去の自分と決別したかったのだろう。
同時に、

自分も本当はそう決断したかった、という羨みの感情も垣間見える。

ヴァイスの感情も爆発する。
ウォルスタ人が人間らしい暮らしをするための戦いに協力しない老人たちは死人も同然か。
尤も、

こっちの思いの方がメインであったかもしれない。
これまでも、自分が先頭に立ってゲリラ活動をしてきたのに、
周りはみなデニムを英雄として、指導者として見ていた。
なぜ、俺じゃないんだ?
俺とデニムは何が違う?

ラヴィニスは公爵のやり方に反対する。

ラヴィニスもレオナールも、どちらも相手を裏切り者と呼ぶ。
主君の、祖国の裏切り者。
国民の、裏切り者。
どちらも名誉を重んじるウォルスタの騎士。
何が2人を分けてしまったのか。
そこへレオナールが。

レオナールの口からこの言葉が出たのは意外だった。
レオナールは「血」に囚われずものを考えられる人間だと思っていたが、
混血をなじる発言は、耳を疑うものだ。
それほど、レオナール自身追いつめられていたのか。
それとも、我々が思う以上に、「血」はこの島の住人たちをきつく縛り付けているのか。

事をなそうとその場を離れるレオナールたちを追うラヴィニス。

しかし、ヴァイスの凶弾に倒れる。

この後、デニムたちは行く手に立ち塞がるウォルスタ軍(!)を倒すも、
レオナールたちを止めることはできず。
火の海に包まれるバルマムッサの街を茫然と見つめるほかなかった。